色の性質と効果についての投稿を①から④まで通して読んでくださった人はすでにご存知かと思いますが、これまで赤、青、黄、緑、橙、紫、ピンク、茶色と紹介してきました。これらの色は全て色味がしっかりとあり色の温度や彩度(鮮やかさ)が変化することから「有彩色(ゆうさいしょく)」と呼ばれています。それに対し、今回取り上げるのは色味を持たず温度や彩度が変化しない「無彩色(むさいしょく)」についてです。無彩色は基本的に「白色」「灰色」「黒色」を指し、これらをまとめて「モノトーン」とも呼ばれています。無彩色は有彩色に比べて色の主張性が少ないと思われがちですが、無彩色にもそれぞれの個性を示す意味がついていますので、やはりスルーはできません。
例えば真っ白なロング丈のワンピースを着ていくとしたら?黒のやや大きめなジャケットやコートを羽織っていくとしたら?白・灰・黒が持っている潜在意識や効果、与える印象について一緒に見ていきましょう。
9、白色(ホワイト)
ミルク、医者や研究者が着る白衣、うさぎ、パールの色でもある白。
実はそんな白色には「うそが嫌い」とか「気高くありたい」といった潜在意識があり、オンオフの切り替えができたり、けがれのない心を示す効果があると言われています。白色のものを身にまとうことで、純粋で清潔感があり、色味のない無彩色の極みであることから研ぎ澄まされたような洗練さを印象づけています。結婚式で花嫁が着るウエディングドレスや白無垢も、そういった純粋で清楚なイメージから、「あなたの色に染まります」といった意味がこめられています。
このように、純真無垢で洗練された心をイメージさせるのが白色の特徴であるといえます。
10、灰色(グレー)
ねずみ、石、曇り空、道路の色でもある灰。
そんな灰色には「深入りしたくない」とか「控えめでいたい」といった潜在意識があり、慎重になりつつ無駄なエネルギーを消費しようとしない効果をもっています。灰色のものを身にまとうことで、シックで大人っぽく、真面目で従順な印象を与えることができます。
このように、謙虚で真面目、さらには白や黒よりも気の強さを落とした懺悔を表す色でもあるのが灰色の特徴であるといえます。
11、黒色(ブラック)
カラス、リクルート(フォーマル)スーツ、墨汁の色でもある黒。
実はそんな黒色には「私の考えが正しい」とか「指図しないでほしい」といった潜在意識があり、身も心も引き締まり堂々としていられるという効果をもっています。黒色のものを身にまとうことで、堅実でありながら高級感のある凛とした印象を与えることができます。ちなみに、裁判官が着ている服は黒色の法服と呼ばれていますが、黒であるのは「何色にも染まらない、揺るぎない態度で法廷に臨む」といった意味が込められているからだそうです。
このように、重厚で何色にも染まらない、権威や優位のあるイメージを持つのが黒色の特徴であるといえます。
全5投稿にわたって紹介してきた「色の性質と効果」シリーズはいががでしたでしょうか?色に対する価値観は人によって違っていても、これまでのように色の知識を少しでも持っていれば自分が本質的に着たいと思っている服や小物と向き合ってみたり、自分が今まで滅多に手に取ってこなかった色に挑戦してみたくなる気持ちが少しは湧いてくるのではないでしょうか。自分の個性、魅力、世界観を、自分らしく表現していく。このすばらしさをこれからもさまざまな角度から発信していけたらなと思っています。